「プロ麻雀には団体がたくさんあって、違いが分からない」。よく聞く声です。でも、その複数性こそが日本の麻雀界の面白さでもあります。それぞれの団体には、生まれた理由も、大事にしている価値観も、ルールの個性もある。ここでは主要な団体を一つずつ、じっくり紹介します。
そもそも、なぜ団体は複数あるのか
野球やサッカーのように一つの統括組織があるわけではなく、麻雀界には複数のプロ団体が並び立っています。これは、それぞれの団体が「自分たちの理想とする麻雀」を掲げて、別々のタイミングで生まれてきたからです。
競技としての厳格さを追う人、エンターテインメント性を重んじる人、賭けない健全な麻雀を広めたい人——麻雀に対する考え方は一つではありません。理念が違えば、採用するルールも、運営するタイトル戦も変わってきます。団体が分かれているのは、麻雀という文化がそれだけ多様な価値観を抱えている証でもあるのです。では、その個性を一つずつ見ていきましょう。
最高位戦日本プロ麻雀協会 ── 競技麻雀の源流
日本の競技麻雀を語るとき、まず外せないのが「最高位戦」です。そのルーツは1976年に始まったタイトル戦「最高位戦」にさかのぼり、プロによる本格的なリーグ戦の先駆けとして知られます。
頂点のタイトルは、その名のとおり「最高位」。A1リーグを最上位に、A2、B1、B2……と続く階層リーグを勝ち上がり、シーズンを通した成績で実力が順位に表れる仕組みです。長い歴史に裏打ちされた「競技としての厳格さ」が、この団体の背骨になっています。
日本プロ麻雀連盟 ── 国内最大規模の老舗
1981年に設立された日本プロ麻雀連盟は、所属プロの人数で国内最大規模を誇る団体です。初代会長は、昭和の麻雀界を象徴する人気プロ・小島武夫。その後を継いだ灘麻太郎とともに、乱立していた小団体をまとめ、麻雀界全体を盛り上げるという志のもとに作られました。
最高峰のタイトルは「鳳凰位」。鳳凰戦のA1リーグを頂点に、A〜Eの厳しい階層が組まれています。一発や裏ドラを採用しない競技性の高いルールで知られ、「運の要素をできるだけ削ぎ、実力で競う」という姿勢が連盟の伝統です。名選手・名解説者を数多く輩出してきた、まさに業界の大黒柱と言える存在です。
日本プロ麻雀協会 ── スピード感と現代性
2001年に設立された日本プロ麻雀協会は、比較的新しい世代の団体です。最高峰タイトルは「雀王」。
特徴としてよく挙げられるのが、一発・裏ドラ・赤ドラを採用した、テンポの良い「アリアリ」のルールです。点数の振れ幅が大きく、攻めの判断が勝負を分けるスピード感は、現代のファンや配信文化とも相性がよいと言われます。発信に積極的で、人気・実力を兼ね備えた選手が多く、Mリーグでも多くの所属プロが活躍しています。
RMU ── 「真の麻雀プロ」を掲げて
RMUは「Real Mahjong Unit」の略。2007年、土田浩翔・多井隆晴を中心に、トッププロたちが集まって創設された団体です。代表は、いまや麻雀界屈指の知名度を持つ多井隆晴。
「真の麻雀プロを作る」という明確な理念のもと、独自のルールとタイトル戦を整えてきました。最上位リーグの系譜は現在「令昭位戦」として続いています。規模は最大手ほどではないものの、理念先行で生まれた団体ならではの、芯の通った個性があります。
麻将連合-μ ── 「賭けない麻雀」という思想
1997年、プロ雀士の井出洋介が設立したのが麻将連合、通称μ(ミュー)です。
この団体を象徴するのが「麻将」という表記。井出は「麻将」を、金銭を賭けない麻雀を意味する言葉として定義し、「競技麻将」の普及を団体の目的に掲げました。賭博としての麻雀から距離を置き、純粋な競技・知的ゲームとして麻雀を確立しようとする思想は、後年のMリーグが掲げる健全性の先駆けとも言えます。最高峰タイトルは「将王」。規模よりも理念で語られる、思想性の強い団体です。
Mリーグ ── 団体が交わる交差点
そして2018年、これらの団体を横断する舞台として登場したのが「Mリーグ」です。
サイバーエージェントの藤田晋氏が中心となって立ち上げたチーム対抗のプロリーグで、企業がオーナーとなり、各団体から選び抜かれたトップ選手がチームの一員として戦います。所属団体の垣根を越えて強者が集う、いわば「交差点」のような存在です。賭けない・飲まない・吸わないという健全さを前面に、麻雀を「観るスポーツ」へと押し上げました。Mリーグの登場は、それまで団体ごとに分かれていたファンの視線を一つの舞台に集め、麻雀人気を大きく押し上げる起爆剤になりました。
女流リーグという、もうひとつの主戦場
主要団体には、それぞれ女流のリーグやタイトル戦が整えられています。最高位戦の女流リーグ、連盟の女流タイトル、協会の女流雀王戦、μの将妃戦——女流プロたちもまた、階層リーグを勝ち上がる真剣勝負を繰り広げています。
Mリーグでも各チームに女流選手が在籍し、男女の区別なくチームの主力として戦っています。配信や大会を通じて女流プロの人気と実力が広く知られるようになったことも、近年の麻雀界を語るうえで欠かせない要素です。
団体を越えて交わる ── タイトル戦と最強戦
普段はそれぞれのリーグで戦う各団体のプロたちですが、団体の垣根を越えて激突する舞台もあります。その代表が、団体横断のオープン大会「麻雀最強戦」です。所属を問わずトップ選手が集い、ふだんは交わらない強者同士の対戦が実現する——こうした横断イベントは、ファンにとって特別な見どころになっています。
各団体の最高峰タイトル(最高位・鳳凰位・雀王・令昭位・将王)も、それぞれの一年を締めくくる大舞台です。団体ごとの個性が、最も濃く表れる瞬間でもあります。
ルールの個性が、見え方を変える
団体の違いは、ルールにも表れます。たとえば一発や裏ドラ、赤ドラを採用するかどうかで、ゲームの性格は大きく変わります。
一発や裏ドラを採用しない競技ルールでは、運の要素が抑えられ、緻密な押し引きと読みが勝敗を分けます。逆に、一発・裏ドラ・赤ドラをすべて入れた「アリアリ」のルールでは、点数が一気に動き、ダイナミックな逆転が生まれやすくなります。どちらが優れているという話ではなく、何を「麻雀の面白さ」と捉えるかという思想の違いです。同じ一局でも、ルールが変われば最善の打ち方が変わる——その奥深さも、複数の団体があるからこそ味わえるものです。
自分の「推し団体」を見つけるには
たくさんの団体を前に「どこから見れば」と迷ったら、難しく考える必要はありません。
まずは、Mリーグの中継を入り口にするのがおすすめです。各団体のトップ選手が一堂に会するので、気になる選手が見つかれば、その人の所属団体を追ってみる——それだけで自然と一つの団体に詳しくなれます。あるいは、緻密な競技性が好きなら連盟や最高位戦、テンポの良い攻め合いが好きなら協会、といったルールの好みから選ぶのも一つの手です。
推しの選手、推しの団体が見つかると、リーグ戦の一節一節がぐっと自分ごとになります。
違うからこそ、横断で見ると面白い
ルールも、理念も、空気もそれぞれ違う。だからこそ、団体をまたいで見渡すと、麻雀という競技の奥行きが見えてきます。連盟の重厚さ、協会のスピード感、μの思想、RMUの理念、最高位戦の歴史——どれが上ということではなく、それぞれが違う表情を持っているのです。
JONGBOY は、どの団体にも肩入れせず、その全部を横に並べて追いかけます。推しの団体を見つける入り口として、このガイドを使ってもらえたら嬉しいです。